1)アメリカの大学テニスと日本の大学テニスの主な違いは何ですか?
まず、アメリカではNCAAレベルの大学テニスプログラムが1100以上あり、Division I、II、III、NAIA、JUCOなどがあるのに対し、日本では20~30程度しかありません。また、アメリカの多くのテニスチームは8〜12人の選手と2人のコーチ、フィジカルトレーナー、時にはその他のサポートスタッフで構成されていますが、日本ではほとんどのチームが40〜50人の選手と1人のフルタイムコーチ、場合によってはフィジカルトレーナーで構成されています。
2)どのような奨学金がありますか?
NCAAでは男子と女子で奨学金の規定が異なり、また各Divisionでも独自の奨学金のガイドラインがあります。NCAAテニスの多くのDivision 1レベルでは男子チームには4.5人分、女子チームには8人分の奨学金が支給されます。通、アメリカの大学の学費は約2万ドルから8万ドルなので、奨学金を得ることで、4年間で20万ドル以上の援助が受けられることになります(選手、大学により、誤差があります)。
3) どの程度の英語力があれば、大学に合格できますか?
それは、大学によってそれぞれです。しかし、一般的には、すべての学生はSATまたはACT、TOEFL、IELTSまたはDuolingoなどの英語能力テストで基準点を獲得する必要があります(大学によってこの基準点は変わってきます)。ほとんどの学生は英語のテストに合格するのが最も難しいので、できるだけ早く勉強を始めることをお勧めします。Division IスポーツのTOEFLの平均最低スコアは約65点、Duolingoは90~95点です。
4) 奨学金を得るためには、テニスがどの程度の実力が要求されますか?
これも人それぞれの大学で異なります。NCAAには1)でも述べたように、多数の大学があるため、テニスのレベルにも幅があります。特定のランキング要件はありませんが、大学のコーチは、一般的に、その選手の試合結果を見ることが多いです。現在、大学のコーチは海外選手のプレーを直接見ることが難しいため、海外選手のレベルを確かめるのに、UTRのレーティングシステムが広く使われています。また、国内大会や国際大会での十分な成績がない場合は、各選手が自分のテニスのビデオを作成して、大学のコーチ達にYOUTUBEなどを通して、見てもらったりしています。
5) アメリカでは、大学は、いつから始まりますか?そして、テニスシーズンは、いつからいつまででしょうか?
ほとんどの選手は、一般生と同様、8月に大学生活を始めますが、テニスシーズンが、1月から始まるということもあり、1月に始めることも可能です。秋は、オフシーズン、プレシーズンの為、いくつかの個人戦の大会と、大学のチーム戦が、1つか2つと数少なめです。
その代わりに、春の本シーズンに向けての練習、トレーニングなどは、必須で、一年生は、特に、アメリカの新しい環境の中での生活、英語での勉強 授業、クラスに慣れるために、多くの時間を学業に費やす大事な時期でもあります。
学生たちが冬休みから戻ると、大学は平均して、約20〜25試合カンファレンスとノンカンファレンスの試合を他校と組みます。その戦績によって、ナショナルに残れば、5月ごろに最後の試合があり、ナショナルに残れなかった大学は、大抵、5月の初めには、シーズンが終わります。他校とは、3つのダブルスと、6つのシングルスで対戦します。
6) アメリカの大学テニス留学への準備はいつから始めればいいですか?
できるだけ早いに越したことはありません。テニスや、学業の履歴書の良いものが早く作れれば、作れるほど、色々な大学への入学のオプションが広がります。アメリカの大学を目指す日本のほとんどの選手は、大学のコーチ方に直接自分のテニスが見てもらえる環境がないため、自分のテニスビデオを作成して、自分をアピールしていきます。
アメリカの大学のコーチ方に、実際に、間近に見てもらうことによって、選手自身を強く印象付けることができるように、TM3 SPORTSは、こちらでの遠征、アメリカの大学訪問ツアーを組んだりもしています。
これは、つまり、アメリカでの試合を通して、UTR RATINGなどが取れるようサポートをしたり、学校見学など、実際に訪れ、学校校舎や、コーチ方にface to faceで会える機会を持てるようにする遠征・ツアーです。
学業に関してアメリカの大学は、高校のGPA(日本で言う内申書)も重要視している為、日本の中学3年生から高校の三年生(アメリカの高校は4年間=日本の中学3年生から高校3年生の4年間)までのGPAの提出が必要とされています。そのためにも、アメリカ大学に興味がある選手は、学校の成績を早くから考慮して、テニスだけではなく、学校の勉強の方もしっかり進めていくことを強くお勧めします。
さらに、大学に入学するためにほとんどの大学は、SATという英語のテストを取ることが必要とされています(大学によって、必須点が変わってきます)。英語を母国語とする人でも、SATを複数回受験しており、母国語としていない日本人の選手は、難関度はさらに増します。さらに、SATが受験できる回数は毎年6回(日本では5回)しかないため、こちらの準備も早ければ早いほど、SATの点数を伸ばすチャンスが増えるということを頭に入れておいてください。また、SAT以外に、海外留学生は、TOEFLなどの英語能力試験も必要で、その準備にもさらに時間がかかりますので、準備は早ければ早いほどいいでしょう。
7) 奨学金を得た場合、具体的にどのような費用が必要で、何が含まれているのでしょうか?
まず、奨学金の種類、また、男女でも異なりますが、フルスカラシップを得た場合は、とてもシンプルです。授業料、部屋代、食事代、教科書、スポーツトレーニング、コーチング、試合のための移動費、その時の食費、健康保険、テニスギア(ラケット、ストリング)などが含まれます。学生が負担する主なものは、日本への帰国する際の往復の旅費、お小遣い、テニスウエア、シューズ、トレーニングウエア以外の自分の私服や靴などです。
男子チームや、大抵のDivision 2、Division 3、JUCO、NAIAの学校などは、奨学金がチーム全体に行き渡るほどの奨学金がないため、ほとんどのコーチはその奨学金を選手間で分配しています。そのため、一部の奨学金がもらえたとしたら、その残りの費用は、自己負担となります。例えば、40%の奨学金を提供された場合、選手は費用の60%を負担することになります『例:学校費用$50,000 奨学金$20,000自己負担$30,000))』。但し、この奨学金は、ローンではないので、返済する必要はないお金となります。
このように、一部のスカラシップしか提供されない大学も多いため、事前に、自己負担となる予算を考慮しておくこともとても大切です。
8)練習時間はどのくらいありますか?
NCAAなどの協会は、シーズン中およびシーズン以外の練習回数について、厳しい規則を設けています。これらのルールは、学生アスリートを保護すると同時に、大学を代表してアスレチックに参加しながら教育を受けることの重要性を強調するために設けられたものです。
日本と比べて、学生は授業に出席することが求められ、競技の試合に出場するためには、GPAの平均値を2.0(日本で言う5段階の3)以上維持する必要があります。一般的に、オフシーズンは週8時間まで、シーズン中は20時間まで練習が可能です。また、1日最大4時間の練習規定があり、週1日の休養もNCAAのルールとなっています。
9)大学テニスでアメリカに行くと、他にどんなメリットがありますか?
アメリカの大学では、コート内外で様々なメリットがあります。テニスに関しては、4年間、自分と同等、もしくはそれ以上のレベルの選手とハイレベルな練習をすることができ、そして、世界各国からテニスだけではなく、いろいろな夢を持って、学業に、そしてスポーツに、励んでいる若者と肩を並べての大学生活を経験することができます。ましてや、そのような環境、経験を、奨学金を得て体験できることは、素晴らしいことです。
また、第二外国語を学び、世界中のプレーヤーと出会い、世界中に多くの友人ができます。これは、英語という共通言語が話せることで可能になります。
その他、大学卒業後、多くの企業がバイリンガルで、しかも4年間Student Athleteとしてやってきた選手(勉強、スポーツを両立して頑張ってきた選手)のような人材を求めている会社が多いため、就職にも、かなりのアドバンテージになります。TM3 SPORTSの卒業生達も、今では世界各国で活躍していて、ゴルフチャンネル、PGA、SAP、プリンスホテルなどの一流企業で活躍しています。
10) 大学生の選手がATP/WTAツアーでキャリアを積んだことはありますか?
YES! 大学卒業後、プロのテニスプレーヤーとして活躍した選手は世界中にたくさんいます。ジョン・イズナーはジョージア大学で4年間プレーした後、キャリアハイのランキング8位、ダブルス26位になりましたし、ダニエル・コリンズはバージニア大学でプレーした後、WTAツアーでランキング23位を獲得しています。それには、多くの大学のコーチ方もそのキャリアをサポートしている為、選手が在学中に、プロの大会に参加したりすることも多々あり、実際、多くの大学がシーズンオフの間に自分の大学のキャンパスでプロのトーナメントを開催したりして、選手がプロの大会で戦えるよう、その機会を作っています。
11) アメリカの大学でプレーしている日本人テニスプレーヤーは他にもたくさんいるのですか?
はい!います。日本人選手は、これまで何年も前からテニス留学生として渡米しています (実際に私たちも16年前からテニス留学生をサポートしています)。
コート上でもコート外でも大きな成功を収めている選手もいます。昨年は、テキサス大学でプレーしていた伊藤裕也選手が、NCAAチーム選手権で優勝しました。2017年には、オハイオ州立大学の小和瀬美穂さんがNCAA女子ダブルス選手権で優勝しました。 アメリカの大学でテニスをしている日本人選手は、年間で男女合わせて10~20人程います。このようにアメリカに渡って、大学でテニス留学をしている選手達は、コート上での活躍に加え、アメリカでの経験もあり、ビジネスの世界に入ったあとも、同じような成功を収めている元アスリート達が多くいるのです。
12) 大学生の一日の生活はどのようなものですか?
テニス選手の場合、通常、午前か午後に1回、2〜3時間のオンコート練習があり、シーズンによっては、その2〜3時間の間にオフコートトレーニング、フィルムセッション、個人レッスンも1日のプログラムに含まれていることがあります。その他の時間に、授業、必要に応じてTutoring(個人指導のセッション)などが入り、特に一年目は、英語の授業に慣れるために、勉強時間がかなりのスケジュールを占めることになると考えていたほうがいいかもしれません。
NCAAのWEBサイトによると、平均して、週38.5時間をスポーツの時間で、週34時間を学業に充てていると言われています。17.1時間は社交やリラックス時間に割り当てられ、残りの78.4時間は睡眠と課外活動などの時間だそうです。
13) 学業に、ついていけない場合は、どうなりますか?
学校の成績が、GPA2.0(日本では、5段階の3)を維持できないと、その次のセメスターで、テニスの練習、試合に出場させてもらえない可能性が出てきます。アメリカの大学で、スポーツする選手は、’Student Athlete’と呼ばれていますが、Student (学生)がAthlete(アスリート)の前にきていることに、お気づきでしょうか?このように、アメリカの大学では、どんなにスポーツができても、まず、授業の出席は勿論ですが、大学の授業、テストで、合格ラインをクリアしていないと、スポーツをやらせてもらえない制度となっています。大学に入ったからといって、簡単に卒業できるわけではないのです。
学生が、授業などについていけなくなってくると、コーチ方に取っては、次のシーズンで、その選手を失う可能性が出てくるので、すぐにその生徒のサポートに入ります。Tutoring(日本で言う家庭教師)制度も、ほとんどの学校にあり、先生や、学生などが無料で、わからない教科などを教えてくれる制度で、多くのStudent Athleteは、自分で勉強する以外に、この制度を活用しています。そのほか、Study sessionなどが設けられ、アスリート達が集まって勉強する時間や、もちろん、チームメイトなどに助けてもらいながら、チーム全体がプレーできるように、皆が皆をサポートしています。いい意味で、アメリカの大学のアスリートは、バランスの取れた学生生活を送っているといっても過言ではありません。
14) 賞金付きトーナメントやATP/WTA/ITFツアーで賞金をもらっても、大学でテニスを続けることができますか?
はい。しかし、あなたがどれくらいの賞金、またはスポンサーから受け取っている金額によっても異なりますし、またその遠征や試合などで、どれくらいの経費がかかったかにもよります。NCAAに資格を申請する際には、正直に、全ての賞金を記すことが求められていて、アマチュアとして受け取ることのできる賞金には上限があるということを頭に入れておいてください。
**上記のNCAAの規定、ルールなどは、頻繁に、変更される可能性があることもご承知いただけますよう、お願いいたします。